水槽内のコケ掃除役として人気のあるミナミヌマエビとヤマトヌマエビですが、どちらを飼育すべきか迷われる方も多いでしょう。
どちらもコケを主食とするエビですので、水槽美化に貢献してくれる生体ではありますが、両者には大きな違いがあるのです。
今回は、その違いやオススメについてご紹介いたします。
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ミナミヌマエビとヤマトヌマエビの違い
それでは具体的に、ミナミヌマエビとヤマトヌマエビとでどういった点に違いがあるのかを見ていきましょう。
大きさ
まずはミナミヌマエビとヤマトヌマエビの体の大きさについて。
ミナミヌマエビは小型のエビ種なので、成長しても最大3~4cm位までしか成長する事はありません。
対して、ヤマトヌマエビの場合は個体によっては5cmを余裕で超えてくるものもいますので、小型水槽などに導入される場合は、かなり迫力のある生体となってしまいます。
なので、水景の観点から見て熱帯魚よりもエビが目立ってしまうと困るという場合にはミナミヌマエビ一択となりますが、特に問題ないという場合であればヤマトヌマエビでも可能となります。
繁殖の可否
続いては、水槽内での繁殖について。
ミナミヌマエビの場合は、かなり低温〜28℃前後と生育可能な水温の幅は広く、20℃以上の環境であれば勝手に抱卵・孵化して繁殖してくれます。
よって、一度抱卵可能な個体を購入してしまえば、そこからは何世代にも渡って水槽のコケ掃除をしてくれる頼もしい存在となるのです。
対して、ヤマトヌマエビの場合は20℃以上の水温じゃないと生育自体が出来ない種類で、尚且つ孵化には汽水域(海水と淡水の入り混じった水質)である必要があります。
なので、通常の熱帯魚水槽内での繁殖が出来ないエビに該当するのです。
コケ除去能力
次にミナミヌマエビとヤマトヌマエビのコケ除去能力について。
冒頭でもご紹介のとおり両方ともコケを食べる生体ですので、どちらにもコケの除去能力はあります。
しかし、その体の大きさの差もありますが、ヤマトヌマエビの食欲はミナミヌマエビ5匹分に匹敵するレベルなのです。
なので、コケの除去能力としては断トツでヤマトヌマエビが最強です!
が、最強であるが故に、逆にその能力がいき過ぎてしまう事もしばしば起こってしまうのです。
ヤマトヌマエビがデメリットになるケース
それではコケの除去能力が莫大なヤマトヌマエビを水槽に導入する事で、一体どの様なデメリットが発生する可能性があるのか。
ここは水槽によってはかなり重要な部分となりますので、導入前に必ず確認が必要になるでしょう。
食害が起こる可能性がある
ヤマトヌマエビを飼育する事で起こり得る最大のデメリットとしては、やはり水草への食害でしょう。
基本的にヤマトヌマエビであっても、食べやすいコケを優先して捕食対象として食事をしていきますが、コケの発生速度よりもヤマトヌマエビのコケ除去スピードの方が上の場合は、次第に食べるものがなくなります。
そういう状況になってしまうと、ヤマトヌマエビの食事対象がどんどん水草に移っていってしまうのです。
なので、もし水草のレイアウトも重視した水槽で飼育する場合は、コケとヤマトヌマエビのバランスが崩れてしまうと水草がボロボロにされてしまうのです。
立ち上げ直後の水槽は注意
ヤマトヌマエビは体が大きいので、コケを食べる時の引っ張る力もかなり強いです。
それ故に上記でご紹介の食害に少し似ていますが、せっかく苦労して植栽した水草をツマツマの力が強過ぎる為に抜けてしまう事が多いのです。
特にショートヘアーやニューラージパールグラスの様な前景草は、ツマツマされる頻度も高く、あまり深く植栽できない種類ですので、抜かれてしまう可能性は高くなるでしょう。
なので、ヤマトヌマエビは植栽から数週間経過してから導入するのが望ましいでしょう。
ミナミとヤマトの判断基準
それでは、実際に水槽を立ち上げるもしくは既にある水槽のコケ掃除にとミナミヌマエビとヤマトヌマエビのどちらかの導入を検討されているかは、どちらを購入するかどの様に判断するべきか迷う所でしょう。
そこで、ここからは個人的な見解ではありますが、どちらを選ぶべきかの判断材料についてご紹介いたします。
水草のない水槽の場合
ミナミヌマエビの場合はどの様な水槽であってもデメリットは発生しません。
そして、ヤマトヌマエビの場合は環境次第では、水槽内に植栽されている水草に対して食害や抜いてしまうなどのデメリットが発生してしまいます。
なので、もし水槽内に水草がない環境であった場合は、そもそもどちらを選んでもデメリットは無くなりますので、判断基準としては繁殖させたいのならミナミヌマエビを、繁殖しなくてもいいならヤマトヌマエビを選択すると良いでしょう。
まずはミナミで様子見
もし、上記の様な水槽ではなく水草を植栽されている水槽にエビの導入を検討されている場合は話は別です。
この場合は、個人的には先にミナミヌマエビを数匹入れて、しばらくは様子をされる事をお勧めします。
一度ミナミヌマエビを数匹入れてみて、数週間後にコケの量がどうなっているか次第でヤマトヌマエビの導入を行うかどうかを検討しましょう。
仮にミナミヌマエビ導入前よりもコケの量が減っていれば、更に数週間後には更にコケの量は減っているでしょうから丁度良いバランスなのではないかと思います。
ミナミヌマエビ導入から数週間経ったが、コケの量が減る事はなくてもコケの量が増える訳でもないという状況であれば、この場合でもヤマトヌマエビの導入は控えるべきでしょう。というのも、こういった状態であれば、一度ある程度のコケを手動で取り除いてあげれば、その後はコケとミナミヌマエビが良いバランスでキープできる事でしょう。
最終手段としてヤマトヌマエビを導入
上記でご紹介の様な状況ではなく、どんどんコケだけが増え続けている状況の場合は、最終手段としてヤマトヌマエビを導入される事をオススメします。
新しい照明にしてから水草の調子が良くなってんけど、それ以上に浮草とコケの爆殖が笑えるレベルにw pic.twitter.com/fzETvj0Dub
— ハリー@アクアリウム (@harryaqua_jp) February 4, 2020
この場合は、照明の点灯時間の短縮や木酢液などの対策を行って一時的に抑える事ができたとしても、それを継続しないとコケの爆殖が再発してしまいこれを繰り返す事になります。
もちろん、それはそれでアリではありますが、照明時間の短縮などは折角の水景を楽しむ時間が削られてしまったりと本末転倒に近い状態になってしまいます。
それであれば、いっそヤマトヌマエビを導入してコケが発生しやすい今の状況を維持・微調整する事で、水草に被害が出ない程度にコケの削減を実現される事が可能となるでしょう。
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まとめ
以上が、ミナミヌマエビとヤマトヌマエビ、どちらをコケ掃除役として選ぶべきかの判断基準のご紹介となります。
基本的にはミナミヌマエビを導入していれば間違いありません。
コケが多い環境であれば勝手に繁殖してくれて、反対にコケが少なくなるとそれに併せて個体数も減ってくれますので、かなり手間のかからない生体と言えるでしょう。
しかし、ミナミヌマエビのコケ除去性能ではとても美化がおい使いない程のコケの勢力がある場合は、ヤマトヌマエビを導入してその侵攻を止める必要があります。
ただ、ヤマトヌマエビの場合はコケがなくなると水草までも食べてしまうという食害のリスクがありますので、コケの量を観察しながら照明時間などを調整する様にしましょう。