熱帯魚やメダカなの水槽では、水質を安定させるもしくは汚れを希釈するためなど水質維持を目的とした水換えを定期的に行う事が一般的です。
そして、水換えの際に水槽から抜き取った排水はそのまま捨ててしまうところですが、これが肥料として再利用する事が出来るのです。
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水槽の水換えについて
まずは、そもそもの話でもある水槽の水換えを行う理由などについてご紹介します。
水換えの必要性
熱帯魚やメダカ、その他生体を飼育している水槽内の水は、餌を与えた際にその餌の栄養素が水中に溶け出したり、生体から排出される糞や尿による汚染などで徐々に汚れの濃度が高くなります。
理想的な水槽では、その汚れである養分を分解するバクテリアが働く事で浄化され、水の汚染と浄化がバランス良く行われる事で水槽内の水質が安定します。
とはいえ、自然界ほどの莫大な面積と生物の比率を水槽という限られたスペースで再現することは出来ませんので、どうしてもどこかのタイミングで水換えが必要となります。
排水に含まれるもの
水換えで水槽から出した排水には、前述でご紹介の通り餌の食べ残しや生体の糞尿だけではなく、そこから水中に漏れた養分も含まれています。
水換えの頻度を少なくした事がある方であればご存知かと思いますが、この成分が含まれる飼育水のままだとコケが水槽内に繁殖し出します。
つまり、水草やコケにとっては、むしろ繁殖しやすい成分が多い状態でもあるのです。
当然これは水草やコケだけではなく、他の植物である観葉植物や作物にも有効な肥料になり得るのです。
植物の育成に必要な養分について
次に、植物の育成に必要な養分についてもご紹介します。
養分なら何でもかんでも良いという訳ではなく、わざわざ水槽の水を利用するのですから、これにメリットがあるのか先に明確にしておく必要があります。
植物に有用な3大栄養素
早速ですが、植物の育成に必要な3大栄養素についてご紹介します。
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基本的には上記の3つの栄養素が重要な項目となります。
もちろん植物の種類によっては、花の彩りを増す為だったり特定の作物の育成の為に上記の3つの栄養素以外の肥料が推奨されることもありますが、それでもこの3つの栄養素に関しては植物の成長に欠かす事のできない栄養素となっています。
水換えに含まれる栄養素と合致
そんな植物の育成に必要な栄養素ですが、実は前述でご紹介の水槽の水換えの排水に含まれる栄養素と見事に合致しているのです。
窒素(N) | 生体の糞尿に多く含まれていますので、生体の多い水槽であればあるほど多くなります。 |
リン酸(P) | 生体の餌や糞尿から水中に流れ出る為、こちらも生体多めの水槽の方が多いです。 |
カリウム(K) | 水道水に含まれていたり、水槽のレイアウトに使われる石から水中に滲み出ます。 |
カリウムについては、水道水をそのまま植物に与える事でも多少の肥料の効果はありますが、他の栄養素に関しては水道水に含まれていませんので、アクアリウムの水換えで発生する排水を活用する事で補給する事ができます。
既に実用されている
この魚類の飼育水を家庭菜園だったり畑などに活用する方法ですが、実は既に実用化されている方法でもあります。
本来であればこの様に水槽とセットにできれば良いのですが、これを一般家庭で実現させるには比較的スペースのある庭だったり、ベランダに日当たりと水循環をさせるフィルターの電源設備が必要になるので、若干敷居が高くなります。
なので基本的には一手間かかることになりますが、室内の水槽の飼育水を一旦バケツなどに移して、それをベランダなど屋外で育てている家庭菜園や花などの植物に与えるという方法になります。
水換えの水を活用する際の注意点
そんな水換え排水の活用方法ですが、この方法にはいくつか注意点が必要になります。
沈殿物が葉に付着しない様に
一つ目の注意点が、水換え時に吸い出した水槽の水の中に沈殿物が含まれている場合に限定した話です。
水換えの際に水槽の上部の水を排水している場合は関係ありませんが、底床掃除も兼ねた水換えの場合は底床のソイルに付着している分などの沈殿物も一緒に吸い出す事になります。
それ自体は水質を綺麗に保つ為には必要な行動ですが、その沈殿物が植物の葉などに付着しない様に水やりをする必要があります。
なぜなら、葉に沈殿物が少し付いた位では問題ありませんが、それが繰り返されると葉の表面に沈殿物が蓄積し、光合成に必要な太陽光を遮断してしまうのです。
更にいうと、その植物が葉野菜であった場合は、収穫後に洗ったとしても多少味に変化を与えてしまう可能性も残ってしまうので、水やりの際には注意が必要です。
需要と供給バランス
2つ目の注意点は需要と供給のバランスについてです。
というもの、水槽側にとっては定期的な水換えは有効ですが、その頻度が高くなりすぎてしまうと水槽内のバクテリアの量が減少してしまう原因になります。
そうなると水やりを行う植物が冬場などに水やりの頻度が落ちた時点で、水槽側の水質悪化スピードが増してしまうリスクが伴うのです。
なので、飼育環境次第な部分ではありますが、1週間に一度以上頻度の水換えにならない程度に抑える必要があります。
まとめ
以上が、熱帯魚やメダカなどの飼育水槽の水換えの排水を、ベランダ菜園や水耕栽培の肥料として活用できる仕組みなどの紹介です。
これが個人的な意見であれば少し慎重になる必要はありますが、既に多くの企業で取り入れられている手法ですので、アクアリウムと植物育成の両方をされている方は取り入れてみる価値は十分にあります。
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